WEDDING PARTY REPORT
ウェディングパーティーレポート

ー LGBTQ WEDDINGー
この数年の間に "LGBTQ"という言葉の 社会的認知が進んできたように思います
多様性を受け入れ認め合う世界が広がる一方で
日本ではまだ法律での同性婚姻は認められていません
大切な方々に感謝を伝えることや、共に生きることを祝福される機会は
どのカップルにも等しくあってほしい
そんなことを強く感じた素敵なパーティーをご紹介します

ー結婚式を挙げる理由ー
「友人の結婚式に参列したある時
"なぜ私は 結婚式をする ということを選べないのかな" と感じたことがありました
こんなに幸せを味わうことができる結婚式を
挙げる という選択ができる事自体 すごく幸せなことだなと感じて。
憧れまではいかないけど
"私にもこれをやる権利がある やってもいいだろう" と思っていました」
と ゆうこさん
一方 ようこさんは これまで自分のセクシャリティについて 家族や友人に伝えてきませんでした
「自分の生活の中に すごくゆうこさんが近い存在になって
周りへ 隠したり 辻褄合わせすることが 難しくなってきた時
せっかくの大切な人たちへ 事実を伝えていないことに 違和感を感じて。
だったら 結婚式 ということをきっかけに
"聞いてほしいことがある、私はこんな人間なんですよ"
ということを伝えられる機会になると思いました
壮大なカミングアウトでした」
それぞれのバックグラウンドや価値観から感じる 結婚式への考え
ふたりで 挙げることを決意しました

ーTHE WEDDING DAYー
結婚式はどんな日になりそうですか? とお打合せで 会話した時
“奇跡の日”と話していたおふたり。
「大切な人ができた時 他の大切な人に "この人が私の大切な人ですよ"と紹介したい
その逆で パートナーにも 自分の人生で出会った 全部の大切な人を紹介したい
大切な人同士がつながって一同に介する、
そんな奇跡の日ができたら素敵だなと思います」
挙式は行わず ウエディングパーティ―を開くことにしました
秋の夕暮れ時 ドレスアップしたゲストたちが お越しになります
デザイナーであるゆうこさんが自ら作った
ウェルカムスペースのタペストリー、ペーパーアイテムたち
ビール瓶のラベルまで ご用意されました

ーWEDDING DRESSー
ゆうこさんのセレクトされたドレスは
ロンドンから取り寄せた Safiyaa(サフィーヤ)の1着。
Safiyaa とはアラビア語で「純粋さ」を意味し
“お客様に愛されるデザインであることと同じくらい、身に纏ったときの安心感と着心地の良さを大切にしている”
と話すデザイナー ダニエルが生み出すウェディングドレスは
特別な1日をリラックスして過ごせるように
贅沢な生地が惜しみなくたっぷりと使用されており
エフォートレスな着心地を叶えてくれます
スクエアにカットされたネックラインと
花びらのようなショルダーデザインが美しいドレスは
ゆうこさんの 優しい雰囲気を軽やかに彩ってくれます

ようこさんのドレスは
ドレスショップ THE TREAT DRESSINGのアトリエから誕生した
ブランド TREAT MAISON(トリート メゾン)のオリジナルドレス
マットな質感のクレープ素材に背中を大きく開けたバックコンシャスなデザイン
大胆なファッショナブルさと 上品さを兼ね備えています
ヘアスタイルはタイトなローシニョンに仕上げ
シンプルなスタイリングにより
ようこさんの笑顔がより華やぎます


余計なものはそぎ落とし 肩肘張らずにゲストと楽しめるパーティーを。
ウェディングドレス=スペシャルで豪華なもの として日常と切りはなされていた今までとは違い
ご親族や親しいご友人の皆様とアットホームなパーティーをイメージした
おふたりらしい スタイルの完成です


ーWEDDING PARTYー
扉の向こうに どんな表情でどんな感情でゲストが座っているのか
楽しみと緊張と様々な気持ちを胸に 入場の時間です


「扉がバンっとあいた瞬間 印象的で忘れられません
始めは 圧倒されて何がなんだかわからなかったけど
すごく温かい空気が伝わってきて‥
すぐ近くに 好きな友人の顔を見つけた瞬間 なんとも言えない気持ちになりました
会場全体を見渡した時
“こんなに大切な人たちが 私達の計画したことに YESと言って ここに座ってくれている
お互いの大切な人全員が 私たちを見てくれている"
なんてありがたいんだ という気持ちでした」
涙で視界がほとんど見えない中でも分かるほど
みんながお祝いしてくれていることが届いた、と思い返すゆうこさん



涙するゆうこさんの隣でようこさんは満面の笑顔
「振り返ると ゆうこさんが 泣いていてびっくりしました
私はどちらかというと すごく嬉しくて
来てくれた一人ひとりとハグしてハイタッチしたいくらい!
自分のセクシャリティをカミングアウトして
友人たちと 初めて顔を合わせましたが 変わらず 受け入れてくれました」
同じことを体験しながらも お互いに感じ方が違うのも
また面白いよね、と振り返るおふたり



大事な友人たちに楽しんでもらえる おもてなしの会がしたいね
とふたりで決めた 結婚式のコンセプト
大切な友人を紹介しあったり お料理をゆっくり楽しんでもらったり
そんな時間にしようと 企画してきた1日
「結婚式の当日はもちろんだけど それまでの準備の時間もすごくよかった」
と 準備期間を思い返す ようこさん
この結婚式で何をしたいのか
時間をかけてお金をかけてどんな時間を過ごしたいのか
パートナーを、ゲストをどう思っているのか
お打合せの中で度々 プランナーと重ねてきた この言語化の時間がすごく大事だった
「自分の心の思いを言語化することって普段なかなかないですよね
結婚式という大きな機会だからこそ
自分の今の気持ちや 大事な人への想いにちゃんと向き合って
言葉にする、という時間が すごくいい機会だった」

ー結婚式を通じてー
「わたしたちは 法律的な婚姻関係を結ぶことができないからこそ
周りの人を巻き込んで 自分たちの関係を大っぴらにしてしまえる結婚式は
婚姻関係を結ぶという事実よりも効果が大きいと感じました
祝福をしてもらった時
"今まで隠してきた人にもっとオープンでいいんだな"と思うようになりました」
結婚式で 自己開示をしたようこさんは そうお話しされました


「たくさんの友人に “こんなにいい結婚式きたことない 人生で一番楽しかった”
と いう言葉をかけてもらって それだけでもう大正解、
結婚式やってよかった と心から思えています
あとは お互いの大切な人と同じ日を過ごして "身内になったな" と感じていて。
これまで 互いの話をしている時
彼女越しの◯◯さんという形でしか 知らなかった人と
結婚式で繋がり より打ち解けた関係になりました
あの時間だね、と 大事な人と立ち戻れる場所ができたことが嬉しいし
結婚式でできた"輪"を感じています」 と ゆうこさん

ー"結婚式を挙げる"ということー
結婚式を挙げた今 感じることをおふたりに聞きました
「どんどんいろんなものの既成概念が取っ払われている時代だけど
結婚式も 家のため、会社のため といった 社会的責任を果たすための会でなく
"自分の大事な人 好きな人を呼んで 楽しめる時間"
そういう会も "結婚式" と呼べるようになったらいいなと思う」
と ようこさん
「結婚式、披露宴 と聞くと 仰々しかったり大ごとに感じるかもしれないけど
もっといろんなかたちがあればいいと思う
同性カップルが結婚式をするかどうか これは個人の価値観によって様々だけど
やりたいことをやったらいい って私は思う
"やってみたら 楽しいよ" とそれは心から言えます
私たちがきっかけで同性の方が 結婚式をする というきっかけになったら嬉しいです」
と ゆうこさん


ゆうこさんと ようこさんの結婚式を通じて
私たち自身が あらためて結婚式の本質について向き合える大切な機会をいただきました
“ずっと一緒に生きていたい人がいる”
そんな人に出会えたこと その関係を伝えたい誰かがいること
結婚式には 人と人との繋がりを紡ぐ力があります
同性異性関係なくそんな素晴らしい機会を皆さまに手にとっていただきたいと思います
そのためにも お一人おひとりの思いをかたちにすることを
今後も 心をこめて大切にしようと強く感じました

おふたりの幸せを心より願っております
-staff credit-
Hairmake:BiE
Photo:unison 村岡芙実 instagram: @unison0422 / @lt2r_photo
Flower:U&Tse
Wedding plannner:Maho Tomii